Reborn-Art Festival は、環境省の『環境で地域を元気にする地域循環共生圏づくりプラットフォーム事業』の一環として、石巻市内で見られる未利用・低利用の魚介類を地元漁師らに取材し、それぞれの特徴や食べ方を伝えるポスター兼タブロイド『いただきます!石巻インディーズフィッシュ』を制作しました。
水産業が盛んな宮城県石巻市では、多くの漁業関係者により産業が成り立つ一方で、海の環境変化だけでなく、漁師の高齢化や漁業の機械化などによる伝統的な漁法や生業の変化、商品価値にならないという理由から食べられるはずの魚介類を廃棄するといった現実があります。
Reborn-Art Festival では、これまでも様々な視点から石巻の海と食に向き合ってきましたが、昨年度からは、食べにくい・小さくて扱いづらいなど、様々な理由から利用価値を見出せず市場に出荷されない魚介類である未利用魚・低利用魚に着目し、石巻市内で調査を開始。そうした存在をレアでユニークな存在である『インディーズフィッシュ』と名付け、それぞれの特徴やおいしい食べ方、浜での暮らしなどを取材しました。
ポスター内に掲載した『インディーズフィッシュ』のイラストは、昨年開催した Reborn-Art Festival2021-22[後期] 参加アーティストの小説家・朝吹真理子氏、画家・弓指寛治氏が担当。2人が共同制作した作品《スウィミング・タウン》の制作過程で、牡鹿半島での漁業を体験したことをきっかけに、現在も定期的に石巻に通い地元住民との交流や漁への同行等を続けています。
今後は、石巻市内の飲食店や漁業関係拠点、教育機関などへの配布を予定しており、多くの方と「未利用・低利用魚」や海の資源について考えるきっかけを作るとともに、多様なアプローチでその魅力や可能性を見出し、発信していきます。
名称:「いただきます!石巻インディーズフィッシュ」
制作・発行:一般社団法人Reborn-Art Festival
発行日:2023年6月21日
発行部数:500部
仕様:A1(両面カラー印刷)
掲載されているインディーズフィッシュ[全12種]:コノシロ、ギンポウ(ギンポ)、ホンダワラ、グンズラボウ(クサウオ)、ボラ、ヒイカ、イワシ、シウリ貝(ムール貝)、アカエイ、イシガニ、オゲ(ウグイ)、ソウハチガレイ
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● 作画を担当したアーティストよりメッセージ
石巻に通うようになって、魚のことを、漁師の仁太郎さんや土橋さんや亀山さん、料理人の今村さんたちから、いろんなことを教えてもらっている。浜の仕事を少しだけ体験して、満船の鰯を船の上で見たり、刺し網漁の蟹をとったり、素潜り名人に会ったりした。網にかかる魚は、ふだん東京では食べることのない魚もたくさんかかるのだとそのとき知った。「未利用魚」の面白さやおいしさを、浜のプロたちは知っていて、それが、もっと多くのレストランや食卓でも食べられるようになったらいいなと思っている。
魚の絵を描くのとてもおもしろかったです。ありがとうございます。
— 朝吹真理子(小説家)
Reborn-Art Festival に参加させてもらった事がきっかけで石巻と縁ができました。誰一人知り合いのいないまちだったのに今は石巻に着くと歓迎してくれる方が大勢いる。これは信じられないくらいすごい事だと思う。漁にも連れて行ってもらって、大漁のイワシが揚がるのをみたりワタリガニを網からひっぺがしたりした。この土地は色々な体験を僕たちに分けてくれる。今回描いたインディーズフィッシュ達にもぜひ会ってみたい。姿を見てみたいし食べてみたい。近いうちに、きっと。
— 弓指寛治(画家)