Reborn-Art Festival 2021-22 [後期] では、石巻で一番被害の大きかった南浜・門脇地区が「復興祈念公園周辺エリア」として新たなメイン会場の1つとなり、参加アーティストがそれぞれのアプローチでこの場所に向き合っています。
参加アーティストの一人、川俣正は、復興祈念公園周辺エリアにて長期的なプロジェクトを構想しています。震災前の石巻から現在、そしてこれからが混ざり合う今回の展示について、地域の方も交えてお話をします。
キュレーションを担当する和多利恵津子、和多利浩一(ワタリウム美術館)らが、今年のアート作品の見所やテーマなどについても触れる、オープニングトークとなります。
川俣正《石巻タワー》から考える、石巻のこれまでとこれから
日程:
8月22日(月)17:30〜
場所:
旧観慶丸商店(宮城県石巻市中央3丁目6−9)
出演:
川俣正(Reborn-Art Festival 2021-22 参加アーティスト)
新妻健悦(アトリエ・コパン代表)
高橋広子(石巻市震災伝承推進室主幹 学芸員)
和多利恵津子、和多利浩一 (ワタリウム美術館、Reborn-Art Festival 2021-22 [後期] キュレーター)
司会:
松村豪太(Reborn-Art festival 事務局長)
入場無料(リボーンアート・パスポートのご提示が必要になります)
*入場者数制限がございますので、ご入場できない場合もあります。何卒ご了承ください。
《 石巻タワー 2022 》について
川俣正は、1982年にベネチアビエンナーレに参加して以来、世界を舞台に活躍するアーティストです。制作プロセスや空間そのものの捉え方を作品として見せ、そこでは観客の動きまでもが作品のプロセスとなります。
「震災後の平坦な地に塔を組み立てる。空を目指して立つ塔のイメージは、ここに引き続き住む人たちの強い意志を反映するのではないかと思った。会期中、ずっと明かりが灯っている。公開制作にして、誰でもがこの制作を見ることができるようにする。このプロジェクトは、今回を含めて2回のフェスティバルを通して完成される」(川俣正)
《石巻タワー》と《Plan for São Paulo Biennale》(石巻市博物館所蔵)について
川俣正は、1982年にベネチアビエンナーレに参加して以来、世界を舞台に活躍するアーティストです。旧観慶丸商店では、南浜マリーナ隣の空き地で展示する川俣の作品《石巻タワー》の制作プロセスと、1987年にブラジルのサンパウロ・ビエンナーレで展示し世界に注目された初期作品《Project Nove de julho Cacapava》のための模型も展示されます。
「Reborn-Art Festival で木造のタワーを組み立てます。そのプランスケッチや模型でタワーのイメージを紹介します。また、石巻市博物館が所蔵している、津波で破損した私の作品が修復され、この機会に展示されます」(川俣正)
▼ 川俣正
1982年にベネチアビエンナーレに参加して以来、世界を舞台に活躍する川俣の作風は「制作プロセスそのもの」も作品であるということである。川俣の手がける大がかりなプロジェクトではアパートや公共空間に材木を張り巡らし、空間そのもののとらえ方を作品として見せているが、そこでは観客の動きまでもが作品のプロセスとなる。プロジェクトを実施するために作られる模型や平面レリーフもそうした意味でプランではなく一つ一つがそこに至るプロセスを抱えた作品だと言える。インスタレーションという手法をいち早くとりいれた川俣だが、最近個別作品の人気も高まっている。
▼ アトリエ・コパン
1974年、開設。初期の10年間は子どもたちの未来のためにと「現代美術」の造形概念を取り入れ制作の刺激とする。教室内を「環境作り」として毎回変貌させるなど実体験を重視した。次の10年は「個の表出」を意図する。1992年以降、造形活動の二重構造「A・B理論」を構築し子どもたちとの実践の基軸とする。「同じ内容は繰返さない」を旨として48年間、オリジナルな教材開発を進める。東日本大震災では教室で被災、壊滅的な状況となったが教え子や保護者たちの声に押され教室を再開する。現在も小学生から高校生までが通う。
▼ 高橋広子
学芸員として2017年から石巻市震災遺構の整備に携わり、門脇小学校と大川小学校の展示を担当。震災からの学びを考える中で、自然との共生・生命・生きるとは何かを展示テーマとし、多様な視点で問いかけをもった展示を心がけてきた。自身の体験と様々な声を重ね合わせながら描いた「記憶を紡ぐ」の展示は、震災遺構のコンセプトにつながっている。被災当時は石巻文化センターに勤務し、考古分野の担当として博物館業務を担っていた。
▼ 和多利恵津⼦
ワタリウム美術館館⻑。1956年⽣まれ。早稲⽥⼤学⽂学部卒業。80年ミュージアムショップ・オンサンデーズ設⽴。90年よりワタリウム美術館のキュレーターを務め、現在に⾄る。著書に『ロトチェンコの実験室』(新潮社)、『世界のミュージアムグッズ』(平凡社)、『ルドルフ・シュタイナー、遺された⿊板絵』(筑摩書房)などがある。「パビリオン・トウキョウ2021」実⾏委員⻑。「⽔の波紋展2021」主催。
▼ 和多利浩⼀
ワタリウム美術館代表。1960年⽣まれ。早稲⽥⼤学社会科学部卒業。80年オンサンデーズ設⽴。83年美術メディア出版社イッシプレス設⽴。90年よりワタリウム美術館のキュレーターを務め、現在に⾄る。92年「ドクメンタ9」にて⽇本⼈で初めて働く。95年「第1回ヨハネスブルグ・ビエンナーレ」の⽇本代表コミッショナー。「パビリオン・トウキョウ2021」制作委員⻑。「⽔の波紋展2021」主催。
▼ ワタリウム美術館
1990年9月、プライベート美術館として開館。初代館長を務めた和多利志津子(1932-2012)は、1972年から1988年まで同地でギャルリー・ワタリを運営し、アンディー・ウォーホル、キース・ヘリングやドナルド・ジャッド、ソル・ルウィットなど、世界の現代美術をいち早く日本に紹介。ワタリウム美術館の所蔵品は80年代のこれらの活動によって集められたものがベースになっています。また展覧会をより深く理解してもらうため様々なイベントを開催していることも大きな特徴で、開館以来、1,000回以上の講演会、ワークショップ、研究会が開催された。